入院生活編

元亀元年 十二月二十四日 佐吉

てらこやでいっしょの増田くんにこくられた
ぼくには大谷君がいるからとことわった
てゆうかきょうはじめてなまえをしった
しょうじきうざい

元亀元年 十二月二十五日 佐吉

かゆ
 うま

元亀元年 十二月二十六日 佐吉

かき
 うま

元亀元年 十二月三十日 佐吉

さいきん増田君がついてくる
さっきは増田君がぼくのぞうりをなめていた
きもちわるい
だれかたすけけて・・

元亀二年 一月二十六日 佐吉

さいきんの平馬くんとのわだいは
のぶなが様のけらいの きのした殿のことでもちきりだ
平馬くんは「虎みたいな顔してるにちがいない」っていう

だからこんど見にいってみることにした
平馬くんの話だと おうみのどっかにいるみたいだ

ぼくは熊だとおもう

元亀二年 二月六日 佐吉

最近、いつも誰かのしせんをかんじる
ちょっとこわい
もしかして増田君?

元亀二年 三月十二日 佐吉

増田君がいやらしい目をしてぼくをおいかけてきた
ぼくはこわかったけど、なぜかこうふんした

元亀二年 三月十四日 佐吉

はぁはぁはぁ・・・・
とりあえず増田君からはにげてみたけど、どうしようかな・・・
だれかにそうだんしたほうがいいのかな・・・

でもしんぱいかけちゃいけないよね!!(うるっ)
だめだ!おとこのこはないちゃだめだ!(うるっ)

元亀二年 三月十七日  佐吉

今日は大谷君と会わなかった。
また病気なのかな、とおもっておいしゃさまのところへいってもいなかった。
どうしたんだろう・・・

そういえば増田くんもいなかった。
うれしい。

元亀二年 三月二七日 佐吉

市松と虎之助になぐられてにゅういんしてた。
うれしい。

元亀二年 三月二八日 佐吉

市松と虎之助に殴られて入院した増田君をお見舞いに行った。
ぼくまで見舞い先に潜入してた市松に殴られて入院になった。
増田君はおとりだったらしい。

元亀二年 三月二九日 佐吉

市松と虎之助がいしゃにへんそうして
ぼくのてんてきにおしっこをいれていった

元亀二年 三月三十日 佐吉

きょうも市松と虎之助が病院に来た
となりには変態増田くんもいるし
ぼくのにゅういん生活はじごくのようです
打撲でにゅういんしたのに「いかいよう」というびょうきにまでかかってしまった
もういやです

元亀二年 三月三十日 佐吉

きょうは浅野君がおみまいにこんぺいとうをもってきてくれた。
うれしい。でも食べたらすごい腹痛にみまわれた
どうも毒がはいってたらしい
おそらく市松と虎之助にめいれいされたんだとおもう
このままじゃしんでしまうかもしれない

元亀二年 四月四日 佐吉

ある日、急にぱったり市松と虎之助がおとなしくなった。
きのした殿のつまのおねというおばさんがたしなめてくれたそうだ。
うれしいけど、誰も来なくなったのでちょっぴりさびしい。
大谷君も最近みかけないし。

元亀二年 四月十一日 佐吉

きょう大谷くんがおみまいにきてくれた!
ひさしぶりにみた大谷くん、ぼくより大谷くんのほうが入院したほうがよさそう。

おみまいにフナ寿司をもってきてくれた!
でもぼくは胃の病気だからたべられないよ・・・。
きもちだけでもうれしい!

元亀二年 四月二十日 佐吉

いよいよ明日で退院だ。
なんだかなごりおしいような気もするけど、
また大谷くんと遊ぶ事ができる!

でも市松や虎之助と会うのは嫌だなぁ

元亀二年 四月二十一日 佐吉

きょうでいよいよ退院だ!ぼうこうされてあたまを強打・・・すとれすによるいかいよう。
ながい入院せいかつだったなぁ!

わわ!って、なんでぼく虎之助にはがいじめにされてるの?!
い、市松その手にもっているのはなに?!とんかち?
ちょっ!やめ

元亀二年 四月二十二日 佐吉

かゆ
 うま

元亀二年 四月二十三日 佐吉

たいいんしてからおかゆにはまる。かゆうま。超かゆうま。

さいしょはぬるくてみずっぽいのをたくさんすする。
つぎはすこしあっためてはんぶんくらいあじわう。
さいごはにつめてすこしだけになったあつあつのをたべる。

かゆうますぎ。もっとみんなにひろめたい。

元亀二年 四月二十四日 佐吉

おかゆのすばらしさを教えてあげたくて、大谷くんをよぶ。
のぞきこんだ大谷くんのはなみずがなべにはいってしまった。
大谷くんと友だちでいたかったので、だまってぜんぶたべた。
ちょっとしょっぱかった。かゆうま。

元亀二年 四月二十五日 佐吉

なかなおりのしるしだと言って、市松がしんさくのかゆをもってきた。
あかかった。市松はのいちご入りだといった。
カラかった。口から火がでた。
虎之助もめずらしいかゆをもってきた。ところどころみどりだった。
ななくさがゆだとかれはいった。ぜんぶたべてから、どうにできるさびだとうちあけられた。
ひっしで口にゆびつっこんでげえげえはいた。そのばん、げりをした。

元亀二年 四月二十六日 佐吉

すとれすのせいで、かみの毛がぬけて、かっぱのようなあたまになった。あだ名はかっぱ。
さらにすとれすで、ふきでものがたくさんできた。かゆ、かゆ、かゆい。
もうひとつすとれすで、きせいをはっするようになった。
ぎゅえぎょえ。きけけ。ぴゃっほう。
ぼえー。ほんげほんげー。
せんせいに、じゅぎょうのじゃまをするなといわれて立たされた。

元亀二年 四月三十日 佐吉

何日か寺でのべんきょうを休んだ。
家で寝てたら大谷くんがしんぱいしてまいにちおみまいにきてくれた。
大谷くん、ひとりでさみしいみたいだ。
大谷くんのためにもまたお勉強しにいかなくちゃ!うん!がんばる!負けないゾ!

・・・それと、増田くんもきのうおみまいにきてくれた。
でも増田くんの目つきはちょっといやらしいから正直苦手だ。

元亀二年 五月一日 佐吉

得意のそろばんで長束にかてねえむかつく。
こんどやつのおかゆにマヨネーズまぜたる。さいあくwwww

元亀二年 五月二日 佐吉

平馬くんとおかゆをたべた
またはなみずが入ってしまったけどだまってたべた
そのあと槍の鍛練がおわった市松と虎之助にぼくのたべてたおかゆをむりやりうばわれた
でもはなみずが入っていることはだまってた
ざまあみろ

元亀二年 五月三日 佐吉

市松と虎之助にはなみずのことがばれた
また生えはじめたかみの毛がぜんぶぬかれた
毛あながいたくてはらが立つので市松と虎之助のふとんにおかゆを流しこんでやった

元亀二年 五月四日 佐吉

市松と虎之助がきゅうに前よりもいばっている
おれたちはおとなになったといばりだした。
ふたりにふんどしとはかまを下げられた。
まだ、子どもだなとわらわれた。
どういういみかわからない。

元亀二年 五月五日 佐吉

こいのぼりの中に虎之助たちが入って、女の子たちを「へびだぞ」といっておそっていた。
なにがおとなだ?こいつらてんで子どもじゃないか。
ぼくならそんなあそびはしない。

そうしたら、
こいのぼりのなかにつめられしばられてほうちされた。
夕ぐれちかく、増田くんがいきをはずませて助けにきてくれた。
うれしいはんめん、すごくいやだった。

元亀二年 五月五日 佐吉

さいきん、ぼくのへやでよく物がなくなる
また市松と虎之助のしわざかと思って平馬にそうだんしたら
増田くんがきゅうに話に入ってきて許せないといってた
案外いいやつだと思った

けどなぜかへやに増田くんの使ってた筆がおちてた


つい記

なくなった笛も、よく探したらあった。
なぜかつば臭くてぬれていた。
なんかきもちわるい。

元亀二年 五月九日 佐吉

このところぼくがみんなにおかゆをすすめるせいか、
学校でくうぜんのおかゆブームがおきてる
広めようと思いたってからわずかのあいだにこれだけ広められたのはうれしい
平馬や、長束くんや、いやだけど増田くんもブームにのっておかゆを食べてる
でも市松や虎之助は気に入らないみたいで、おかゆ断ちをしているらしい
すとれすがたまっている時はよけいにおかゆを食べたほうがいいのに

そう思ってたらほうかごに市松と虎之助がこのおかゆ野郎めとか言って
ぼくにあつあつのおかゆをぶつけてきた
そのせいで頭がやけどしてまたはげがしんこうしてしまった

元亀二年 五月十一日 佐吉

いまだおかゆブームはけんざいで、学校ではおかゆのわだいでもちきりだ
それでひごろのうっぷんを晴らしに市松に大量のとうがらしを入れたおかゆをすすめた
市松はすごく辛そうだったけどなぐられなかった
そのあとほうかごに、お礼といっておかゆをもらった
見た目はおいしそうでたべたら、なかにねんどがはいっててとてもまずかった
そしてそのあとたくさんなぐられました

元亀二年 五月十二日 佐吉

増田くんのおかゆの食べ方がすごくきたないと思った

元亀二年 五月十五日 佐吉

空前のおかゆブームなので、
お昼の全員分のおかゆづくりの当番をつくることになった。

おとといは長束くんがおかゆ当番だった。
お米と水の割合がちょうどよくて、さすがだとおもった。
昨日は市松が当番だった。よそうどおりぼくのおかゆに石を混ぜてきた。
増田くんが食べかけのおかゆをはんぶんくれたのだがなんだか複雑な気分だった。
今日は大谷くんの当番だった。
みなえんりょしてあまり食べなかったのでぼくが5にんぶんたべた。
大谷くん、おかゆおいしかったよ!

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