増田ハッスル編

元亀二年 五月二十日 佐吉

虎之助に「おまえ、どうせ女しらないだろ。」とばかにされた。
女なんてその辺を歩いているじゃないか。なにをいっているのかわからない。
やっぱり虎之助はアホウだ。

元亀二年 五月二十一日 佐吉

虎之助と市松が、やたらこかんをかきむしっていた。
川にとびこんでちっそくしないかと話していた。
川から上がってもこかんをかいていた。
なにかのびょう気らしい。ばちが当たったんだとおもった。
そしたらそのちんちんかいた手で、かおをこすられた。ふたりのばかやろう。

元亀二年五月二十二日 佐吉

みんなおかゆを食べなくなってきた。
でも僕はブームが去らないように食べ続けている。
平馬君はちゃんと一緒に食べてくれる。うれしいなあ。
増田君は誘っても、
いっつも家で食べてるからって言って、食べてくれない。
増田くんがいなくなってから、
平馬くんが、嘘だ。俺と食べるのがいやなんだって言って泣きだした。
嘘つきはゆるせない。
今夜、増田くんの嘘を暴きに、家に忍び込んでやる。

元亀二年五月二十四日 佐吉

おととい増田くんの嘘をあばきに増田君の家に忍び込んだけど
そのあとのきおくがない。
きがついたら家で寝ていた。なんでだろう?
それに、なんだかきのう目がさめてからずっとお尻がいたい。
平馬君に相談してもやっぱりわからないらしい。
平馬君のびょうきがうつったのかなあ。
だって、その話を聞いていた市松がみょうにあわれんだ目でこっちをみるんだもの。
いったいぼくはどうなったんだ?

元亀二年五月二十五日 佐吉

まつたけにおそわれるゆめをみた。なんなんだろう?

元亀二年五月二十六日 佐吉

増田君のたいどが、最近でかくなった。
でも、なんだか、さからえない気がする……どうしてだろう……

元亀二年五月二十七日 佐吉

今日も増田君のたいどがでかかった。ついでにこかんもでかかった。
前までは「佐吉君、ぼくのいえにあそびにおいでよ」なんて言ってたのに
今じゃ「おい佐吉、今日もおれのいえに来いよ。かわいがってやるよ」なんて言ってやがる。
このままじゃいけない!ぼくもがんばらなければ!でもぼく一人じゃ不安だなあ。
そんなわけで今日平馬君と長束君にそうだんしてみた。
そうしたら長束君が話をつけに増田君のいえに行くって言ってた。
長束君ならなんとかしてくれる、とぼくは思う。
それよりかえりに虎之助がぼくにからんできて
「このしゅうどうやろう」って言ってた。なんのことだろう?
でもそれを市松が止めてくれた。
最近市松がみょうにやさしくなった。なんでだろう?

元亀二年 五月二十七日 長束

今日、ハゲ佐吉から相談を持ちかけられた。
ハゲ佐吉が言うには「増田君の家に行ってからお尻が痛い」との事だ。
・・・まあ、増田の変態癖は寺子屋の全員が知っている事だし
大方想像はつく・・・が、そんな想像がつく自分が少し情けない。
自分自身なんとなくいい子ぶっている反面「じゃあ僕が明日増田君に話をつけるよ」と
つい言ってしまったのだが、はっきり言って後悔している。
まあ変態増田はハゲ佐吉に興味を持っているから僕の身に危険は無いだろうが・・・。
いざとなったら佐吉を売るか。ハゲがどうなろうと僕に影響は無い。好きにしろ。
ちなみに今日は珍しく市松と虎之助が口論をしていた。ハゲと変態の事らしいが
からかおうとしている虎之助に対し、市松はそれに反対との事だ。
どうも禁断の性域を超えたハゲに関わると「衆道癖が伝染る」と市松は考えているらしい。
しょうがないのでその場は「衆道は伝染らないよ。ヘタすると佐吉になつかれるよ」と言っておいた。
やっぱり市松はバカだ。くたばれ。優しくなったと勘違いしているハゲもバカだ。爆発しろ。

元亀二年五月二十八日 長束

引き受けてしまった手前、嫌だが増田の部屋に入った。
どうもあの変態は外出しているようだ。
…壁に力のこもった字で『佐吉』とだけ書かれた紙が貼ってある…。
私は言いようのない恐怖に駆られ、
思わず部屋を脱出しようと振り向いたその時…

元亀二年五月二十九日 佐吉

今日、増田くんと長束くんが寺子屋に来なかった。
僕はせきにんを感じて、怖いけど増田くんの家に行く事にした。
怖いから平馬くんも連れて行きたかったけど、
平馬くんにまでめいわくをかけるわけには行かない。

元亀二年五月? 長束

あれから何があったのだろう…。
暗い…何も見えない…
禿でも馬鹿でも病気もちでもいい…
誰か助けて…

…お尻が痛い…

元亀二年 五月二十九日 佐吉

増田くんの家では長束くんが下半しん丸出しだった。
もってきたなんこうを赤くなっているかんぶにぬりつけたら、ひくひくしていた。
なんだろうと思ってのぞきこんだら・・・
ぷうとへをこかれた。
長束くんはばつがわるそうだった。
生へはとてもくさかった。

元亀二年 五月三十日 長束

ちくしょう…なんでこの俺がこんな惨めな目に遭うんだよ
増田め・・・絶対殺してやる
佐吉も俺のケツ見られちまったし生かしとく訳にもいかねェ
くそッ!くそッ!なんでここにはまともな奴が一人もいないんだ!(ぐす

元亀二年 六月一日 佐吉

寺子屋のこく板に、長束くん大図かいと書いてあった。
下のほうには、長束くんのおしりの絵があった。
ぼくの見たのとほとんどいっしょだった。ほくろの位置までいっしょだった。
だれが書いたのだろう。
そのひ長束君は休んでいた。増田くんはにやにやしていた。

元亀二年 六月一日 増田

うふふ、これで長束も終わりだわ。
あたしと佐吉の仲を乱す奴は地獄に堕ちるがいいわ。

元亀二年 六月二日 平馬

寺子屋の空気がこのところみょうだ
だれかとだれかが喧嘩をしているわけではなく
ぎすぎすしてるわけではないのに おもい
増田くんを見る佐吉と長束さんの目がへんなきもする

……
何かあったのかな

よし、勉強が終わったら、佐吉に はなしを聞いてみよう
ぼくにはなしてくれるかな

元亀二年 六月二日 佐吉

今日はひさしぶりに寺子屋に大谷くんがきた。
今日はすごくたいちょうがいいらしい
長束くんのことを話たらすごくしんぱいしていた。
けいこがおわったあとふたりで長束くんのいえにおみまいに行った。
長束くんは「しんぱいしてくれてありがとう。明日はいくよ」
と、いっていた。
おみまいにきてくれたお礼にしぶがきをくれた。
おいしかった
でも、なんかさっきからおなかがいたい

元亀二年 六月三日 佐吉

きのう長束くんにもらった柿をたべてからなんか喉がきもちわるい。
きょうは寺子屋に虎之助がべんきょうしにきた。
ひとつ前にすわられた。せんせいの帳面が虎之助のせなかでみえなくてあたまにきた。
屁をこかれた。いつかだんがいしてやりたい。
ちょっとだまってた虎之助がいきなりかんしゃくをおこしてそろばんをぶんなげ
てでていった。はねかえってきたそろばんの玉がかおにあたった。
ばかがうつりそうでとてもいやだった。
今日は大谷くんがやすんでいた。
大谷くんのびょうきがはやくなおるといいとおもった。

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